017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

ネタメモ:母の再婚

ツッキーのお母さん、記憶飛んでるのもありますし、好きな人出来て再婚するんですけど、その相手が奥さんと死に別れた子連れで、神主やってて、見える人でツッキーのカゲボウズ封じちゃうみたいな展開やりたいんだけど、いつになるやら。

どーすんだよ、と頭抱えてたら、
「協力してあげようかお兄ちゃん」
とか連れ子に言われ
「誰がお兄ちゃんなの」
「あら、戸籍上はそうよ」
「……」
「ところでお兄ちゃん彼女いるの」
「ぶっ」
「どのまでいったの」
などと尋問される。

「お父さんの持ってるポケモンとやり口、教えてあげるわよ」
「なんだって君がそんな事教えてくれるんだい」
「反抗期ってやつよ。私とお兄ちゃんと、彼女さんでかかればなんとか勝てるわよ」
「それってかなり強いよね…」

ミシマ「ツキミヤくん、妹さんいたんだ」
ツキミヤ「最近できたんだ」

 

【書き出し】
 祭の時期でもないのに、いくつもの篝火が夜の闇に揺れていた。
 鳥居を潜って足を踏み入れた境内は静かだった。見下ろすビルの明かりは僅かばかり。冷たく清浄な空気、大事な儀式を前にした緊張感がこの空間にはあった。
 ぱちぱちと弾ける火の音が、青年の耳に響く。篝火が揺れて、青年の影を揺らす。いくつもの光源が青年の影を複数作り出している。
 青年は歩を進める。本殿に続く参道の右手には古い能楽堂が見えて、そこには神主の装束を纏った一人の男が立っていた。男は能面を被り、その手に弓を携えている。背負った箙(えびら)からは何本かの弓矢に混じって梅の花の枝が覗いていた。
 男が背中の矢に手を伸ばす。一本を取り出すと、弓につがえ、青年のいるほうの中空に弧を描くようにして放った。矢は弧を描き、炎に踊る青年の影の一つに刺さる。
 途端に胸に鋭い痛みが走った。
 青年は胸を押さえて、膝をついた。脂汗を垂らしながら、荒く息をして能楽殿の射手を見据える。その瞳は大きく見開かれそこには驚きの色があった。そして普段なら、青年の影がその正体を現して射手に襲いかかるはずだった。
 だが、青年の影からは何も出なかった。影が照らされた地面でのたうち回るように暴れているが、それらが地上に湧き出すことはついになかった。
「が、……は」
 青年は苦しげに息を切らすように胸を押さえる。
 矢が刺さっているのは影なのに、本当に刺されてしまったかのように苦しかった。
 射手が二撃、三撃を放つ。その度に矢が篝火の照らす別の影に刺さって、青年は苦しげな声を上げた。
「……おに、び」
 やっと口にしたその言葉は境内に夜の闇にむなしく溶けただけで、青い火が矢を焼くことも、射手に飛んでいくこともなかった。
 異常事態を察した「手持ち」達が、彼の持つ機械球から自発的に飛び出した時、青年は傷もないのに満身創痍の様相だった。緑の小さな鳥ポケモンが心配そうに寄り添い、その小さな身体を擦り付ける。大きな銅鐸の形をしたポケモン、小さな土偶の形をしたポケモンが射手に対峙するように青年の前に立った。
「矢だ。矢を抜いて……くれ」
 青年は言ったが、矢には何らかの力が籠もっていて、銅鐸と土偶の念動力をもってしても抜けなかった。
「……いいポケモンを持っているんですね」
 意外だ、とでも言いたげに射手の男が言葉を発した。
「少し安心しましたよ。だとすれば尚のこと、これは取り除いた方がいい」
 能楽堂の奥、男の背後から二匹のポケモンが現れる。赤地に黒の縞の大型の獣のポケモン、そして観音とか弁天とかに雰囲気の似た、仏頂面の痩せた人型ポケモンだった。青年の二匹、射手の二匹が睨み合い、ポケモン同士は膠着状態に陥った。無情に四撃目、五撃目を放たれて、青年の影を穿つ。ポケモン達は動けず、寄り添う小さな緑玉は主人が呻く様を心配そうに見上げるばかりだった。
「あと一投です。痛いでしょうが我慢して下さい」
 射手がそう言って、最後の一矢を放った。
 影に刺さった六本目の矢、肺を貫かれたかのような感覚。青年はまるで血を吐く肺病患者のようなひどい咳をした。息がうまくできなかった。
 緑の玉鳥は刺さったばかりの矢に飛びかかる。翼を硬化させて思い切り斬りつけた。だが何かの力に加護されているのだろう。矢はびくともせず、斬りつけた自身が跳ね返ってひっくり返った。
 ひょいっと起き上がった緑玉は再び矢を斬りつけようとしたが、何者かの気配を察知してピンと冠羽を立てた。
 緑玉は境内の拝殿に向かい鋭く飛んだ。テレポートを駆使しながら対象に迫っていく。鋼の翼が、拝殿の鈴尾を切る。だが、シャラッと鈴が鳴ったあの直後、玉鳥の姿が一瞬にして消えた。まるで空間の狭間に吸い込まれるが如く。
 拝殿から現れた童女のようなポケモンに刃物と化した羽が肉薄したその瞬間の出来事だった。
「クエビコ!」
 青年が叫ぶ。が、激しい痛みに咳き込んで地面に伏せった。
 そして見た。髪を二つに結んだような、童女のようなポケモンがその大きな両の瞳を赤く光らせたのを。呼応するように赤い髪飾りのような突起の芯が息を掛けられた炭の火のように燃えている。それが放つ熱量が瞳の光より大きくなったその時、童女の頭上が指でつまんで捻ったかのように歪んだ。
 その様子は、水を湛えた浴槽の栓を抜いた時のようだった。
 空間が渦潮を巻いた。青年の柔らかい髪が穴のほうへ棚引いている。栓が抜かれた穴に向かって風が吹き込んでいく。ブラックホール、という単語が彼の内によぎったが、人を吸い込むほどに強力ではない。だが、それはあるものを強力に吸い取る力を持っていた。
 それは青年の影だった。影が、まるで海峡に出来た渦潮のように模様を作って、吸い込まれていく。夜色の模様を宙に描きながら。
 青年は自らの中身が急速に失われていく感覚に見舞われた。血を大量に抜かれているかのような。
「返せ!」
 半ば殺意にも似た感情を伴って、青年は叫んだ。青年は痛みに呻きながら身体を奮い立て、立ち上がる。
 それは喰らう者たる自負を持つ青年にとって屈辱的な出来事だった。ポケモンを睨みつけるその瞳は夜色を宿し、中心が黄に輝いていた。本性の宿った眼。獲物を捕らえ、己が敵と戦う時の。
 だが、それも長く保たなかった。すうっと毒素が抜けたかのように、瞳から夜の色が消えていく。元の青年の薄く淡い色に戻っていく。いや、戻ったのではない。吸い取られている。
 渦は大雑把になり、やがて消えた。それは青年の影に宿った闇夜が、数多のカゲボウズ達がすべて、栓を抜いた浴槽の向こう側へ行ったことを意味していた。
 青年は意識が急速に遠のいていくのを感じていた。自身の身体が膝をつき、上半身が崩れるように倒れ伏したのが分かった。
 今や童女の髪飾りは光を失い、静かに青年を見つめるのみだ。背後から射手と思しき足音が近づいてきたが、今や青年にそれを遠ざけるだけの力は残っていなかった。
 痛みは引き始めていた。が、ひどい貧血のような感覚と疲労感があって、ついに彼は瞼を降ろした。

キャモメとペリッパーの民俗学

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 キャモメは色合いが水兵の服によく似ている為、キャモメの水兵さんという童謡が作られた。
 また昔から、海で死んだ人の魂はキャモメになって帰ってくるのだという言い伝えが各地にあり、キャモメに亡き人の面影を見る向きがある。
 キャモメはもう会えない人に手紙を書いて届ける。キャモメとなった死者はインクを嘴(くちばし)につけて手紙を綴る。キャモメの嘴の先が黒いのはインクで黒く染まったからである。
 長文を書くほどにクチバシがどんどん黒くなる為、博覧強記な者を黒い嘴と呼んだりするのはそのためだ。

 そして、進化系のペリッパーは実生活でも郵便業務に携わっていることもあり、はこびや的な側面が強化された見方をされている。手紙を綴り、故郷に帰るのは個人的な行為だが、文化や命を運ぶといった社会的な側面が覗くようになる。
 ペリッパーは山の向こうや海を越えて、何かを運んでくる使者と考えられた。その地方にはない種籾や、ポケモンのタマゴ、変わった道具や不思議な石…様々なものをもたらした。
 小さい子の、赤ちゃんはどこから来るの? という質問に対する答えの一つが、ペリッパーが神様の国から口に入れて運んでくる、というものだ。
「赤ちゃんはね、ペリッパーさんが運んでくるのよ」
 はママの常套句である。
 また、昔は飢餓や不作の際に、生まれた赤ん坊をペリッパーの口の中に入れ、遠くへ運ばせる、という風習があった。赤ん坊はある豊かな家に運ばれ立派に育ち、大きくなってから事情を知って、運ばれる時に身につけられた品を頼りに、故郷を探す旅に出た、という古典作品がある。
 そして、ある地域では飛来したペリッパーが口から髑髏を吐き出し、未知の病気が流行ったとの伝承があり、冥界の使者だと言われている。
 いずれにせよペリッパーには人間では行き来ができない異界に飛んでいける存在である、ということだ。神様の国から新しい命や種籾を運び、時には疫病を流行らせて、その口に使者の魂を入れて冥界へと運んだ。此岸と彼岸を結ぶポケモン、それがペリッパーである。

 尚、類型の話を持つポケモンとしては、ラプラストロピウスクレベースなどが挙げられる。
 北方の国やら地域では、土地に最初に足を踏み入れた際に、クレベースの背中に乗ってきた、と語られることが多いという。

ポケモン世界賞金考察

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 ポケモンバトルで貰える賞金はバトル相手から貰えるだけにとどまらない。野良バトルの見物客が良いバトルだと思ったり、推しのポケモンのバトルだったりすると、これでご飯でも食べなさい、その愛らしいピジョンに何か買ってあげなさいとか言ってご飯一食分くらいくれたりする。
 またバトル中に進化が起こると、運がよければご祝儀が貰える。見物していたトレーナー達が缶に小銭を集めて渡してくれる事がある為だ。このお金で美味しいご飯をご馳走してやろう。ポケモンの入ったモンスターボールをデコレーションしたり、新調するのも良いとされる。
 進化ご祝儀はトレーナー当人も嬉しい思い出として記憶している事が多く、その時に貰った五円玉を一枚だけとっておいて、巾着に入れ、お守りにしてるトレーナーもいるという。またそうして得た硬貨を賽銭にすると、バトルの願掛けにおいて強い力が働くという話もある。
 ある町のジムリータはバトルに勝つと賞金として余分に五円玉をくれるという。そして近くに神社があるから詣でるようにと勧めるそうだ。
「この町に来たのだから、この町と縁を結んで欲しいという想いから始めました」
と、リーダーは語る。
「旅をしていたころ、ある町のリーダーにずっと勝てなくて。毎回、神社にお参りしてから挑んでいたんです。それから十年後にジムリーダーの任を受けてから、配属先の町を知って驚きました。毎日のように詣でていたあの神社のある町なんです。これはもうね…」
 また、電車を愛好する乗り鉄トレーナーの間では賞金がわりに駅弁をかけるという文化があり、ブリーダーやコンテストのコーディネイターの間では、珍しいきのみをかけたりもするそうだ。やまおとこから、進化の石を渡されたとか、あるポケモンの生息地を教えてもらったといった事例もある。


「うーん、僕はバトルは詳しくないからなあ。その代わりと言ったら心元ないけど、代わりにこれあげる。手を出して」
 そう言うと青年は五円玉を手のひらに乗せてきた。
「五円じゃ何も買えないよ」
 と、少年が言うと
「神社の賽銭にはなるよ」
 と青年は言った。
「地元の神様を味方につけるのはとても大事なことだ。境内や道中で新しいポケモンが見つかることもある。その前にそば屋にでも行こう。一食くらいご馳走してあげるよ。願掛けもポケモンバトルも腹が減ってはできないってね」

終わらないタスクと羽のある私

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何もかもが終わらない。

仕事も創作もやることがたくさんあって、どれもなかなか手につかないし、一個のことに手中できないし、じっくり腰を据えて長期的なプランが達成できず、短期的な成果にこだわってしまう。そんな焦燥を繰り返しながら、鳥居の向こう別冊や、カケラシリーズの新しいのや、カゲボウズの新刊が出せずに数年が経過してしまった。

仕事も細々した事を片付けるばかりで、メインの、一番やらなきゃいけない仕事を後回しにしてしまう。やりなれていないことに手をつけるのが苦手で、やり方の決まったものから手をつけてしまいがちだ。重い仕事が、集中力のなくなる夜に残ったりするし、ツイッターもやりたくなる。

一個のタスクをこなす。それに集中しなくちゃいけないのに、頭の中にはあれもやらなきゃこれもやらなきゃというのが次々に浮かんできて、ただでさえあんまり容量がない私のワーキングメモリを圧迫してくる。ADHD診断を貰い、ストラテラを飲みだしてからいくぶんか楽にはなったのだが、ここで取引先から電話がかかってきて、あれをやって、これをやって、これを教えてなどと言ってくるからもう最悪である。電話はなくちゃ困るし、ないと仕事にならないけれど、同時に滅びて欲しいという感情も沸くのは致し方のないことだ。

コツコツやるのが正直苦手だ。
とにかく一気にものが片付かない事にずっとイライラしてきた。

そんな時ふとツイッターフォロワーのあるツイートが目に入った。
まんまのツイートではないが主に以下のような内容だ。

「人間、自分に羽が生えているというセルフイメージがそもそもおかしいのである」

「人間なんだから、地面を足で歩くしかないでしょ。
 飛べないことにイラつかずに、一歩ずつ、着実に歩くしかない」

これは私に向けられた言葉ではないのだが、なんだかハッとするものだった。
以来、仕事で進まねぇー!!! と思った時なんかは思い出すようにしている。
そうするとなんだか少しだけ落ち着ける自分がいるのだった。

自分は生まれた時から人間だし、人間でしかないのだが、しばしば人間である事を忘れてしまい、自分の能力を不満がるのだ。
そんな時、この言葉を思い出すと、自分が人間であると思い出せるのである。

 

そういえば最近、Youtube Premium を導入した。
いわゆる課金でCM免除のアレだが、いちいちボタン操作しなくて済むのが大変によい。
無課金時代はそれはそれなりにやっていたが、実はあの操作が負担になっていたのだと実感した。こういう投資はやっていったほうがいいね。

あと、最近財布を落としてしまったので(1年ぶりn回目)、もう自分の能力の程度を認めて(つまり人間だと認識して)アマゾンでチェーンを買った。そして財布を愛用の借金玉デカバッグ(※)にくくりつけた。ついでにしばしば行方不明になってしまう家の鍵もチェーンでくくりつけた。
以来、家を出るときに財布と鍵が見つからずに困る事はなくなった。ちょっと不格好だが外出のハードルが減ったのは大変好ましい事である。

 

(※)借金玉デカバッグの記事はこちら

syakkin-dama.hatenablog.com

 

ちなみに吐き出しっぽく書いたのは、某フォロワーが、自分の状態はちゃんと言語化して冷静になったほうがいいよ、と言っていたからちょっと書いてみた。


これからもせいぜい人間だという事を認識してやっていこうと思う。

ツヤッツヤのサラッサラになりたい。

アフロヘアーの黒人モデルを起用した「ツヤッツヤのサラッサラになりたい。」がこれはダメだと思う、と炎上しているようだ。

理由としては黒人差別の歴史を顧みていない、という事らしい。
一定の説得力があると思うし、おそらく広告は撤去されるんだろうな、と思う。

でも私、本当にそれでいいのかなぁ…、と思っている。

だって今は2020年なのである。

数年前にアメリカで黒人が大統領になり、リトルマーメイドのアリエルが黒人になる時代だ。ハリーポッターハーマイオニー(劇のほう)が黒人になる時代なのだ。

ちょっと想像してみて欲しい。
2020年において肌の黒い方が
「ツヤッツヤのサラッサラのストレートヘアになりたい」
と、発話した時に、それはどんな動機からだろう? と。

白人のようになりたいから?
アフロヘアーをバカにされたから?
私は違うと思う。

もちろんゼロとは言わない。でも、おそらくは個人の好みとしてそういう髪型にしたいから、だと思うのだが、みなさんはどう思われるだろうか。
(これは、髪型をバカにされたからを想像したからといって不正解という話ではもちろんない)

前に、ダウンタウンの黒塗りが問題になった時も思ったのだが、少なくとも2020年の日本において、日本人が肌を黒塗りにするのって、黒人の方をバカにする意図ではなく、その見た目に近づくのが目的だと思うのだ。
私はオタクなので、主にコスプレを想定している。ゲームやアニメには肌の黒く、かっこいいキャラがたくさんいる。仮にコスプレイヤーがそのキャラの容姿に近づこうとして、肌を黒く塗ったら差別だろうか? 黒塗りは差別なんだから差別? いや、そんな馬鹿な。

ブラックフェースの歴史的な問題はミンストレル・ショーなどでググッていただきたいのだが、そういった所と別な場所から出てきたであろう文脈が違うものを、画一的に扱っていいとは私にはどうしても思えない。しかし、2020年現在、もしもこれをやってSNSに上げたならば、差別だ!と叩かれて撤回、謝罪に追い込まれる可能性がある。ポスターの案件はそれを示唆したと思うし、私はそれをよい状況だとは思っていない。

私は先に挙げたようなコスプレの黒塗りなどは、少しずつでも発信されて、その意図が紹介されていったらいいと思うし、ましてや撤回させられるべきでもない。最終的にはその意図すら説明不要になったらいいと思う。

きっとこの意見には、2020年の段階ではまだ早い、という反論がつくのだろう。もちろんそういう意見もあると思うし、きっとまだ時間がかかることなのだとも思う。
それでも、それが差別だって言われる状況、段階的にでも解消していかれるべきじゃないだろうか。

「こういう行為(例:肌の黒塗り)は差別だ!」とする事が必要な時代があった。必要な時代があったのは確かだ。たしかに必要だったのだと思う。
しかし2020年はどうなのか。
あるいは2030年なら?
2050年ならどうだろう。
法律が古くなって改正するように、いつまでもそれが適切かといったら違うのではないか、と。

きっと2020年時点ではこんなことを言ったら怒られるのだろう。けど、私はあの広告を差別だ、撤去せよと言ってる人達を見ると、時代に合わない古い校則を改正せず、校則があるのをいいことに、お前は決まりを守っていない、と指導する先生かよ(もちろん良心や優しさから、異議を唱える方も大勢いるんだと思いつつ)…と、ちょっと思ってしまうのである。少なくとも日本でやる分においては。

誰かが○○したい、○○のようになりたい、と発話する時、そう思うのは差別のせいであるという枠に押し込めていないだろうか。果たしてそれはよいことなんだろうか…と。

2030年、
あるいは2050年に、
「当時はこれが差別だって騒がれてたらしいぜ…」
「まじかよ…」
と若い人達に言われるようになっていたらいい。

そのように私は思うのである。

電車とポケモントレーナー

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 ●乗り鉄にしてトレーナー

 あなたは「乗り鉄トレーナー」をご存知だろうか。
 世の中には多くの鉄道ファンがいて、電車の撮影が好きな人を撮り鉄、電車に乗るのが好きな人を乗り鉄などと呼んでいる。両者は兼ねることもあるが、今回は主に後者について取り上げたい。何を隠そう後者の中でポケモントレーナーでもあるのが「乗り鉄トレーナー」である。その興味深いライフスタイルについてごく簡単にではあるが紹介したいと思う。
 旅のポケモントレーナーの移動方法には、徒歩、ポケモンに乗る、乗り物に乗るなどがあるが、その中でも乗り物、特に鉄道での移動にこだわるのが乗り鉄トレーナーである。
 彼らは鉄道に乗って移動しながら、出会った人々とバトルをする。そして鉄道でキリのいい場所まで移動したり、終電の時間が近づいたら降車し、近くの街に宿泊し、日が昇ればまた電車に乗って移動する。そんな生活をしている者達である。
 田舎のほうに旅をしたことのあるトレーナー諸兄であればご存じかと思うが、田舎というのはとても電車の待ち時間が長い。一時間はおろか二時間さえも当たり前である。正直暇である。なのでトレーナーが出会えばバトルが始まる。暇を持て余した駅員がバトルを仕掛けてくる事もままある。むしろ田舎の駅には簡易なバトルフィールドがある。電車は来ないし、土地はあるからだ。勝負の制限時間は「電車が来て出発するまで」である。
 彼らは時刻表に記載された時間と駅の時計を見比べて何分でケリをつけるかを考える。バトルの前に発車時間を確認して、何対何のバトルにするかを相談するのである。そして賞金代わりに駅弁を賭ける。
 強者を求めて電車で果ての駅まで遠征したり、無人駅で待ち構えて電車に乗ってやってくる同志達に勝負を挑む「バトル鉄」と言われるトレーナーもいるそうだ。
 鉄道オタクと侮るなかれ、これでいてなかなかバトル経験が豊富なのが彼らである。カビゴンが寝ていて乗っていた電車が止まる、ゴローンが転がってきて電車が止まる、そんなことは乗り鉄トレーナーをやっていれば「あるある」であり、線路を塞いでいるカビゴンやゴローンとのバトルを手伝う事は彼らにとってのご褒美であり、名誉である。
 鉄道員は線路を傷付けずに電車の行く手を阻むポケモン達とバトルし、路線から退却させるプロである。そんな業務が発生することもあって、ジムバッジをたくさん持っているトレーナーは鉄道会社への就職が有利なのだと言われている。

 
乗り鉄トレーナーの手持ち

 ポケモントレーナーの手持ちには一定の傾向があり、とりつかいならば鳥ポケモンを、からておうやバトルガールなら格闘ポケモンを所持、というような特徴があるが、彼らは鉄道好きの集まりなのでその傾向はバラバラである。とはいっても、ある程度の特徴を見いだす事はできる。
 その特徴とはずばり、「一緒に電車に乗れるポケモン」である。なので身体の大きすぎるポケモン、重すぎるポケモン、高熱を発するポケモンなど、同乗に支障の出るポケモンは敬遠される傾向がある。
 多くの鉄道会社の規則では、特別に禁じられる場合を除き、電車内では膝や肩に乗るポケモンは出していい、とされている。そうでない大型のポケモンは本当は出してはいけないのだが、多くの人は電車内が空いているなら出してしまうためにルールとしてはあまり機能していない。けれど、電車が混んできたらしまうというマナーも彼らはちゃんと持ち合わせている。そして懐に余裕がある時や、推し路線では切符をポケモンの分も買う。これは乗り鉄トレーナーの間では徳を積む行為として推奨されている。
 面白いのは彼らの中にはポケモンと一緒に電車に乗るため、あえてポケモンを進化させずに未進化にしておくという文化があることだ。この傾向は電車の混みがちな都市部でよく見られる。つまり彼らのポケモンは小さく未進化であってもそれなりに鍛えているため油断ができないとも言える。たまたま鉄道を使って電車待ちバトルをした中堅トレーナーのポケモンが、バトル鉄のスバメゴッドバードを喰らってノックアウト、目の前が真っ暗になった、という話はあまりにも有名である。
 とはいうものの、基本的には進化形の方がバトルが強いので、バトルして勝ちたい乗り鉄にはある種のジレンマがつきまとう。そして単純に進化形のほうが好みなのであっさり進化させる者ももちろんいる。
 そして、肝心のポケモンとの出会いだが、彼らに話を聞くと「電車を待っていたらポケモンが現れたので捕まえた」という話が非常に多い。駅弁を奪おうと襲いかかってきた、と話してくれたトレーナーもいた。
 また、姿が電車に似ているのでデンヂムシが好きで手持ちに加えたいと考えるトレーナーも多い。最近はICカード「デリカ」が普及したこともあり、カードのマスコットであるデリバードの人気も高まっているそうだ。
 余談になるが、鉄道員ポケモンは格闘やエスパーが多いと言われる。これは有事の際に障害物をどかしたりなどするのに向いているからである。「かいりき」や「いあいぎり」の得意なポケモンを連れている者も多い。
 また、ホウエン地方では線路をココドラに食べられないように嫌いな物質などを混ぜ込んだ鉄を用い線路を守っているが、それでも悪食の個体がいて線路を食べようとするため、仕方なく捕まえているという。故にホウエン鉄道員ココドラやその進化系を持っている事が多いのだ。


乗り鉄トレーナーの聖地

 乗り鉄トレーナーは乗り物に乗ることが好きなので、フェリー好き、バス好きを併発させがちだという。カントー地方ナナシマ行きのシーギャロップカントージョウト地方間を結ぶ高速船アクア号が大好きだ。ホウエン地方でタイドリップ号の名誉船長に就任したハギさんは若い頃は小さな船を乗り回して、乗り鉄トレーナーを大いに喜ばせた為、界隈では有名人であるという。
 また、彼らはアローラ地方のホクラニ岳のバスにも乗りたいと思っており、カロス地方ミアレシティでタクシー運転手とタクシー代踏み倒しバトルをしてみたいと思っている。が、いざ現地でタクシーに乗ってはみたものの、やっぱり運転手に悪くてそれができず、降車の際に料金を払った上で勝負を申し込んだという微笑ましいエピソードもあるという。もちろん、ガラル地方の鉄道や空飛ぶタクシーにも乗りたいと思っている。
 そして、彼らが最も憧れるのは、イッシュ地方の地下鉄兼バトル施設であるバトルサブウェイだ。いつか行きたい聖地、不動のナンバーワンである。彼らにとって憧れのトレーナーとはジムリーダーでも、四天王でも、リーグチャンピオンでもない。バトルサブウェイのサブウェイマスターである。その車両基地があるカナワタウンも憧れの地である。
 そして彼らは一人一人がそれぞれに自身の聖地を持っている。それはお気に入りの路線だったり、ある地方の終着駅だったり、ある時間のある列車の座席だったりする。その中には今はもう行くことのできない場所も多くあるし、一度乗ったきりだが忘れられない路線もあるだろう。
 もしも乗り鉄トレーナーに出会ったら、そんな聖地について聞いてみるのも面白いだろう。きっとあなたの知らない世界を教えてくれるはずだ。

 

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ポケモン民俗妄想(2016年9月14日、2018年12月9日)

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その鳥は吉原に夜がやってくると行燈を灯しにやってくるのだった。異国から買われてきた珍しい炎の鳥は店一番の花魁が上客から貰ったという。
あちきも、おまえさんも、この吉原の籠の鳥。
店の遊女達は名も知らぬ異国の鳥に他人とは思えぬ縁を感じていた。

ヒノヤコマ
ヒノヤコマはカロス原産のポケモンで、東洋などではあまり生息が見られないがその美しさや愛らしさから、上流階級向けに輸出され、愛でられた。が炎吐く鳥ゆえに、懐かないと籠を焼いて逃げ出した。中にはヒノヤコマを怒らせた為に屋敷丸ごと焼かれてしまった記録もあるという。
またヒノヤコマは夜目が効かない為、夜間は嘴の先に炎を灯して飛行したが、これが目撃されて、妖怪話として広まったという説がある。オニドリルが光って見える鷺火とか、サイユウの遺念火とか、海の向こうに見えるという不知火などの犯人は逃げだしたヒノヤコマかもしれない。
江戸時代になると吉原で人気の花魁へもヒノヤコマが贈られた。ヒノヤコマを送られるのはステータスだった。花魁は寒い日にはヒノヤコマを懐に入れ、鉢に日を入れさせ、贈られた豪勢な蟷螂の数々を灯させた。何度か起こった吉原の炎上もひょっとしたら犯人はヒノヤコマなのかもしれない。
なので吉原の炎上を描いた歌舞伎にはヒノヤコマ命じて火をつけさせるという有名なシーンがある。舞台には本物のヒノヤコマが使われた。これも当時の千両役者が贔屓の客から贈られたもので、それを見た興行主か思いついたという。役者の浮世絵にはヒノヤコマが描かれているという。
おかげでヒノヤコマにもファンがついてしまい、ヒノヤコマ目当てで芝居に足を運ぶ人もいたらしい。当時の商家のぼっちゃん日記らしきものに、ヒノヤコマちょーかわいい。僕も豊縁は長崎の出島に行ってヒノヤコマを身請けしたい。という記述が見つかった。

クイタラン
昔々、イッシュの砂漠地帯には緑豊かな王国があり、グルメの王様がいました。王様の為に毎日沢山の食事が用意されましたが、少し食べて後は全部捨てていました。そんな王様が死んだ時、審判で神様は言いました。お前は来世ポケモンになるだろう。いつもお腹を空かせるだろう。
王様はポケモンになりました。口は細く、食べ物は一気に食べれなくなりました。おまけに細い口から出る炎の舌は木の実を黒く焦がしてしまうのです。彼が唯一焦がさずに食べれるのは鋼の蟻だけ。けれど彼等は徒党を組んで食事を阻むのでなかなかつかまりません。
王様は常に腹ペコです。いつも食い足りなくて食い足りなくて仕方ありません。今ではそのポケモンクイタランと呼ばれているそうです。

ムクホーク
昔、ムックルの進化と言えばムクバードまでしかありませんでした。彼等は弱く、よく他のポケモンや人間の獲物になっていました。「神様、仲間を守る力を下さい」ムクバードの若者は願いました。すると神様は言いました。「お前に力を授けよう」
「だが一度でも守る以外に力を使ったなら、永遠にその罪が残るであろう」
ムクバードの若者はムクホークになりました。その力の強いこと強いこと。並のポケモンや人間は敵わず退散していきます。一族はだんだん数を増やしていきました。ところが増えすぎて食べるものが足りません。
ムクホークは仕方なく他のポケモンを襲って、その肉で糧を得るようになりました。結果、冠羽の先は獲物の血で赤く染まったのです。
以来、ムクホークの冠羽の先は赤いのだそうです。

ディグダ
土地のことはディグダに聞くといい。戦国の武将にはディグダを持った操り人やディグダの声を聞けるという巫女か支えていて、築城に適した土地を選んだという。そうやって選ばれた土地は地震でも洪水でも地盤が崩れずに堅牢に建つということだ。
また、ディグダは農耕にも通じ、多くの農民はディグダに耕すのを手伝わせた。今でも一部地域ではディグダダグトリオを模した神輿を担いで練り歩く祭りがある。またその形が男根と同一視され、男根とディグダを合わせたような形の棒を奉納する神社があるという。
戦国時代、戦によって、畑が焼かれ、踏み荒らされるのは農民たちの悩みであった。ある時、畑を蹂躙した武将の城が一夜にして崩れ去り、人々はディグダの怒りだと噂し合った。それからというもの、収穫期には戦は控えるという不文律が武将達の間にできたとも云われる。

ジュカイン
ジュカインの背中の実は植物を元気にする事はよく知られている。だから桜を美しく維持管理する櫻守はよくジュカインを連れていた。元気のない桜に実を与えて、花を沢山咲かせたのである。ある古典には櫻森のもとに樹齢五百年の桜の花を再び咲かせて欲しいとの依頼が舞い込む話がある。
だが、実を与えようとするとジュカインが拒否する。櫻守は言った。「この桜の望みは土に還ることです。今年ばかりは咲かせましょうが、後はそっとしておやりなさい」主人が依頼主にそう言うとジュカインはようやく実を渡してくれた。桜は盛大に花をつけ、花が散ると共に枯れたという。

タマザラシ
演芸場で鑑賞できるのは落語だけではない。茶碗や枡を傘の上で回したり、顎の上の棒の先に色々重ねてバランスをとったりする曲芸も楽しい演目である。その昔、豊縁からやってきた初代玉三郎は傘の上でタマザラシを回す事で有名だった。タマザラシと雪玉を見事な傘捌きで回す回す。
タマザラシは回されながら雪玉を大きくしていき、終いにはその雪玉に玉三郎が乗って、それでも傘を回しつづけるという。弟子がモンスターボールを傘に投げ、タマザラシと一緒に十個は回す。演芸場のプログラムは普通落語が最後だが、あまりの人気に玉三郎が最後になる事もあった。

ペンドラー
昔はドラゴンで翼もあったが、イッシュの各地で暴れまくったために聖剣士達がやってきてペンドラーからドラゴン属性と翼を取り上げてしまった。今のような乗りたい背中になったのはそのためだ。虫になってヤグルマの森に住むことにしたのだが、ビリジオンが今も彼らを見張っているという。

コジョンド
イッシュの先住民が精霊を降ろす儀式(巫術)を行う際はコジョンドが欠かせない。トレーナーはコジョンドの腕の体毛で、自らの身体を叩かせる事でトランス状態に入り、精霊を身体に憑りつかせるのである。体毛が空気を切る音も重要な要素という。はたから見るとドMの所業にしか見えないが。