017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

ポケモン民俗妄想(2016年9月14日、2018年12月9日)

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その鳥は吉原に夜がやってくると行燈を灯しにやってくるのだった。異国から買われてきた珍しい炎の鳥は店一番の花魁が上客から貰ったという。
あちきも、おまえさんも、この吉原の籠の鳥。
店の遊女達は名も知らぬ異国の鳥に他人とは思えぬ縁を感じていた。

ヒノヤコマ
ヒノヤコマはカロス原産のポケモンで、東洋などではあまり生息が見られないがその美しさや愛らしさから、上流階級向けに輸出され、愛でられた。が炎吐く鳥ゆえに、懐かないと籠を焼いて逃げ出した。中にはヒノヤコマを怒らせた為に屋敷丸ごと焼かれてしまった記録もあるという。
またヒノヤコマは夜目が効かない為、夜間は嘴の先に炎を灯して飛行したが、これが目撃されて、妖怪話として広まったという説がある。オニドリルが光って見える鷺火とか、サイユウの遺念火とか、海の向こうに見えるという不知火などの犯人は逃げだしたヒノヤコマかもしれない。
江戸時代になると吉原で人気の花魁へもヒノヤコマが贈られた。ヒノヤコマを送られるのはステータスだった。花魁は寒い日にはヒノヤコマを懐に入れ、鉢に日を入れさせ、贈られた豪勢な蟷螂の数々を灯させた。何度か起こった吉原の炎上もひょっとしたら犯人はヒノヤコマなのかもしれない。
なので吉原の炎上を描いた歌舞伎にはヒノヤコマ命じて火をつけさせるという有名なシーンがある。舞台には本物のヒノヤコマが使われた。これも当時の千両役者が贔屓の客から贈られたもので、それを見た興行主か思いついたという。役者の浮世絵にはヒノヤコマが描かれているという。
おかげでヒノヤコマにもファンがついてしまい、ヒノヤコマ目当てで芝居に足を運ぶ人もいたらしい。当時の商家のぼっちゃん日記らしきものに、ヒノヤコマちょーかわいい。僕も豊縁は長崎の出島に行ってヒノヤコマを身請けしたい。という記述が見つかった。

クイタラン
昔々、イッシュの砂漠地帯には緑豊かな王国があり、グルメの王様がいました。王様の為に毎日沢山の食事が用意されましたが、少し食べて後は全部捨てていました。そんな王様が死んだ時、審判で神様は言いました。お前は来世ポケモンになるだろう。いつもお腹を空かせるだろう。
王様はポケモンになりました。口は細く、食べ物は一気に食べれなくなりました。おまけに細い口から出る炎の舌は木の実を黒く焦がしてしまうのです。彼が唯一焦がさずに食べれるのは鋼の蟻だけ。けれど彼等は徒党を組んで食事を阻むのでなかなかつかまりません。
王様は常に腹ペコです。いつも食い足りなくて食い足りなくて仕方ありません。今ではそのポケモンクイタランと呼ばれているそうです。

ムクホーク
昔、ムックルの進化と言えばムクバードまでしかありませんでした。彼等は弱く、よく他のポケモンや人間の獲物になっていました。「神様、仲間を守る力を下さい」ムクバードの若者は願いました。すると神様は言いました。「お前に力を授けよう」
「だが一度でも守る以外に力を使ったなら、永遠にその罪が残るであろう」
ムクバードの若者はムクホークになりました。その力の強いこと強いこと。並のポケモンや人間は敵わず退散していきます。一族はだんだん数を増やしていきました。ところが増えすぎて食べるものが足りません。
ムクホークは仕方なく他のポケモンを襲って、その肉で糧を得るようになりました。結果、冠羽の先は獲物の血で赤く染まったのです。
以来、ムクホークの冠羽の先は赤いのだそうです。

ディグダ
土地のことはディグダに聞くといい。戦国の武将にはディグダを持った操り人やディグダの声を聞けるという巫女か支えていて、築城に適した土地を選んだという。そうやって選ばれた土地は地震でも洪水でも地盤が崩れずに堅牢に建つということだ。
また、ディグダは農耕にも通じ、多くの農民はディグダに耕すのを手伝わせた。今でも一部地域ではディグダダグトリオを模した神輿を担いで練り歩く祭りがある。またその形が男根と同一視され、男根とディグダを合わせたような形の棒を奉納する神社があるという。
戦国時代、戦によって、畑が焼かれ、踏み荒らされるのは農民たちの悩みであった。ある時、畑を蹂躙した武将の城が一夜にして崩れ去り、人々はディグダの怒りだと噂し合った。それからというもの、収穫期には戦は控えるという不文律が武将達の間にできたとも云われる。

ジュカイン
ジュカインの背中の実は植物を元気にする事はよく知られている。だから桜を美しく維持管理する櫻守はよくジュカインを連れていた。元気のない桜に実を与えて、花を沢山咲かせたのである。ある古典には櫻森のもとに樹齢五百年の桜の花を再び咲かせて欲しいとの依頼が舞い込む話がある。
だが、実を与えようとするとジュカインが拒否する。櫻守は言った。「この桜の望みは土に還ることです。今年ばかりは咲かせましょうが、後はそっとしておやりなさい」主人が依頼主にそう言うとジュカインはようやく実を渡してくれた。桜は盛大に花をつけ、花が散ると共に枯れたという。

タマザラシ
演芸場で鑑賞できるのは落語だけではない。茶碗や枡を傘の上で回したり、顎の上の棒の先に色々重ねてバランスをとったりする曲芸も楽しい演目である。その昔、豊縁からやってきた初代玉三郎は傘の上でタマザラシを回す事で有名だった。タマザラシと雪玉を見事な傘捌きで回す回す。
タマザラシは回されながら雪玉を大きくしていき、終いにはその雪玉に玉三郎が乗って、それでも傘を回しつづけるという。弟子がモンスターボールを傘に投げ、タマザラシと一緒に十個は回す。演芸場のプログラムは普通落語が最後だが、あまりの人気に玉三郎が最後になる事もあった。

ペンドラー
昔はドラゴンで翼もあったが、イッシュの各地で暴れまくったために聖剣士達がやってきてペンドラーからドラゴン属性と翼を取り上げてしまった。今のような乗りたい背中になったのはそのためだ。虫になってヤグルマの森に住むことにしたのだが、ビリジオンが今も彼らを見張っているという。

コジョンド
イッシュの先住民が精霊を降ろす儀式(巫術)を行う際はコジョンドが欠かせない。トレーナーはコジョンドの腕の体毛で、自らの身体を叩かせる事でトランス状態に入り、精霊を身体に憑りつかせるのである。体毛が空気を切る音も重要な要素という。はたから見るとドMの所業にしか見えないが。