キャモメとペリッパーの民俗学
キャモメは色合いが水兵の服によく似ている為、キャモメの水兵さんという童謡が作られた。
また昔から、海で死んだ人の魂はキャモメになって帰ってくるのだという言い伝えが各地にあり、キャモメに亡き人の面影を見る向きがある。
キャモメはもう会えない人に手紙を書いて届ける。キャモメとなった死者はインクを嘴(くちばし)につけて手紙を綴る。キャモメの嘴の先が黒いのはインクで黒く染まったからである。
長文を書くほどにクチバシがどんどん黒くなる為、博覧強記な者を黒い嘴と呼んだりするのはそのためだ。
そして、進化系のペリッパーは実生活でも郵便業務に携わっていることもあり、はこびや的な側面が強化された見方をされている。手紙を綴り、故郷に帰るのは個人的な行為だが、文化や命を運ぶといった社会的な側面が覗くようになる。
ペリッパーは山の向こうや海を越えて、何かを運んでくる使者と考えられた。その地方にはない種籾や、ポケモンのタマゴ、変わった道具や不思議な石…様々なものをもたらした。
小さい子の、赤ちゃんはどこから来るの? という質問に対する答えの一つが、ペリッパーが神様の国から口に入れて運んでくる、というものだ。
「赤ちゃんはね、ペリッパーさんが運んでくるのよ」
はママの常套句である。
また、昔は飢餓や不作の際に、生まれた赤ん坊をペリッパーの口の中に入れ、遠くへ運ばせる、という風習があった。赤ん坊はある豊かな家に運ばれ立派に育ち、大きくなってから事情を知って、運ばれる時に身につけられた品を頼りに、故郷を探す旅に出た、という古典作品がある。
そして、ある地域では飛来したペリッパーが口から髑髏を吐き出し、未知の病気が流行ったとの伝承があり、冥界の使者だと言われている。
いずれにせよペリッパーには人間では行き来ができない異界に飛んでいける存在である、ということだ。神様の国から新しい命や種籾を運び、時には疫病を流行らせて、その口に使者の魂を入れて冥界へと運んだ。此岸と彼岸を結ぶポケモン、それがペリッパーである。
尚、類型の話を持つポケモンとしては、ラプラス、トロピウス、クレベースなどが挙げられる。
北方の国やら地域では、土地に最初に足を踏み入れた際に、クレベースの背中に乗ってきた、と語られることが多いという。