017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

キュウコンの尾の伝説

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  とある山村には尻尾が一本しかないキュウコン(イッコン様)が祀られている。戦国時代に落ち延びてきた武者たちを哀れに思ったキュウコンは自分の尻尾を様々なものに変えて住めるようにしてやった。一本は川になり、一本は道になった。三本は一面の稲穂を抱いた田となり、残りの三本が水を蓄える山脈になったという。

 尻尾が変じるものには諸説があり、尻尾の一本が娘や僧などに変じ、娘は子を産み、僧は子供達に字を教えたなどともいう。村で育った子供たちには白い巻き毛の尻尾が生えていた、という話もあるとかないとか。

 尻尾を分け与えたキュウコンの話は各地にあり、八尾となったキュウコン(ハッコン様)が祀られている例は何例も報告がある。尻尾の中から豊作を約束する黄金に輝く種籾が出てきたり、赤ん坊が出てきたりする事が多いようだ。いずれにしろ農工や繁栄の象徴であったことが伺える。

 

ネタメモ:◯月×日水温●℃

◯月×日水温●℃
ある日、島の海がピンクに染まった。ラブカスの群れ?いやあれはプルリルだ!沈む漁船、交通遮断、上がる水位、町に迫るピンク!人々は巨大ドククラゲを復活を決める。
#ふぁぼ来た数だけまったく作る予定のない同人誌のタイトルとあらすじを書いてフォロワーさん達を惑わす

たぶん 水温その他の関係でメノクラゲ類とのすみわけがなされてると妄想。プルリルブルンゲル駆除のキーマンはこいつらかも。

昔、大暴れした巨大ドククラゲの干物を額縁に飾ってある神社とかよくないですか。ドククラゲ大明神。

ホウエンの海にはいないはずのプルリルが大量発生する。ついに巨大ブルンゲルまで現れて、海のポケモンを吸収し、肥え太っていく。このままでは海が滅びてしまう!と神主が引っ張りだして来たのは巨大ドククラゲの干物。
「気は進まないが水をかけて復活させよう。化け物には化け物をぶつけんだよ!」

ネタメモ:水虎

シャワーズって私の中では結構怖いイメージなんですよ。人に覆いかぶさる事で溺死させたり、水に近いから体内に入り込んで操ったりできると思うんですね。溺死させた人間の体内に入り込んで操るシャワーズ。ゾンビィ!

あとヨワシのようにむれの姿っていうか合体ができるんじゃないかな。
「最近はイーブイも繁殖させたものが捨てられて川に浮かび、ゴースト水のシャワーズとなり、ヨワシのように合体して巨大な水のウインディとなり人間に復讐するのだ」

なので水郷、柳川を恐怖に陥れるシャワーズの話が描きたいんです。

柳川の名物煎餅屋で野良ポケモンにえさをやってるばあさんいわく。「ある時な、水路の下流のほうに十数匹の茶色いポケモンが浮かんでおったんじゃ…かわいそうにな…きっと昨今のブームで無計画に繁殖させて…シャワーズだったら生きられただろうにかわいそうになぁ」

シャワーズを飲んじゃった少年とかいたらいいかもしれませんね。うまいこと体内に同化してしまって、以来、水路にうごめくシャワーズたちを察知できる。
「来る…あいつらが集まってくる…ここにいるこいつ以外、あの時水路に浮かんだ全員が…何をする気だ……悪いことが起きる気がする」

「僕のせいだ。あの時、水の石なんか供えたりしたから……」
『あいつらはね、君の腹の中の残り一匹が目当てなのさ。君をとりこんで完全な存在になろうというわけだ。だから君には囮になってもらう。いいね?』

『煎餅屋さんのおばあさんは君が煎餅の万引き犯だって疑ってた』
「違う。川下りの終点であるあそこにはいつもシャワーズの気配がした。だから僕は心配で。あそこに通うポケモンもたくさんいるんだ」

 

(190501追加メモ)

鳥野原フミん@watahumizoo
体内にシャワーズがいるってなんかいいですね。人間の体は半分以上水分ですし、普通にありそう。(鳩さんの半人っぽくなっちゃいそうだけど

なんか今ぱっと浮かんだのは、体内にいるシャワーズのお陰で宿主の少年の血の性質が変わって長時間泳げるとかですかね。鯨類などはヘモグロビンにたくさん酸素を持たせられるので息がもつと聞いたことが。ポケモンを飲み込むことでポケモンの能力を得る。水の中だとある程度不可視になったりとか。

鳥野原フミん@watahumizoo
うわあありそう。
今考えてたのは人間の飲み物に文句を言うシャワーズですね。炭酸飲むと体が痒くなるからやめろーとか言いそうだなとか。飲み水は軟水にしろとか。

少年はその時、たしかにポケモンの視点を得た。水の動きが見える。水流のどこに滑り込めばより速度を得ることができるのか、それを少年は本能的に理解していた。これならいける。あいつらの群体より早く海にたどり着く--
みたいな。

鳥野原フミん@watahumizoo
味覚が変わるのもありそうですね。ちょっと違うと思いますが、臓器移植をしたら性格とか好き嫌いが変わったとかそういう話もありますし。
体の半分以上がポケモンになるんですもの。体質とか色々変わるのも当然なのかもしれない。

味覚ネタは半人でもやりましたが、身体の変化を表現する上では鉄板ですよね。やたらと魚の目利きがうまくなる少年であった。

ネタメモ:エボリューションパニック

その日、神社周辺からはギャーッという悲鳴があちこちから響き渡った。別にグロ画像とかオバケを見ちゃったわけではない。彼らはただ自分のポケモンが目の前で進化したのを目撃したに過ぎない。

なんで進化でそんな悲鳴をあげるかと言えば世の中には諸事情によりポケモン未進化が好ましいと考える人々が存在するからだ。たとえばピジョン好きとか。
ピジョン狂いとか、ピジョン原理主義者とか、ピジョン牧場の経営者なんかがそうであり、カゲボウズを連れた青年なんかもそんな人々の一人だった。

なんたる悲劇。目の前で理想的プロポーションが崩れてしまった鳥ポケモンを見て、彼女は膝をついた。そして数十秒の沈黙の後にこれはピジョット派の陰謀ではないかと考えた。というのもピジョン派とピジョット派は二十年に渡り骨肉の争いを続けており、最近ではSNSの罵倒合戦に発展していたからだ。

「我々は確かに進化のご利益を求めてこの神社にやってきた…。だが、求めているのはポッポからピジョンへの進化、断じてピジョンからピジョットへの進化ではない…!」
メガネの女の言葉にはキチガイとしての実感がこもっていた。同行している男の一人も悲しみに打ちひしがれていた。

いや彼女だってピジョットの魅力は十二分に理解しているのだ。その辺のトレーナーよりはよほど理解している。だが。
過ぎず長過ぎない冠羽、ずんぐりむくっくりした抱きつきたい体型、適度な大きさ、扇のような尾羽…そういった要素を兼ね備えたピジョンの究極のバランスには遠く及ばない。

「うわーん!ゴローちゃんが!ゴローちゃんがキモくなっちゃったよー!」
見れば境内では年端もいかない女の子が大泣きしているではないか。どうやらミズゴロウが虚無の中進化をすっ飛ばしてラグラージに進化してしまったらしかった。幼女に起こった悲劇に彼女は心から同情した。

ポッポがいきなりピジョットになったら泣くわ。ポケモンカードゲームで育て屋さんを用いていきなり二段進化とか邪道にも程がある。
次に彼女らの目の前に現れたのは黒い一軍だった。赤い目の呪いのぬいぐるみ…それが集団になってこっちに走ってくるではないか。その後を一人の青年が追いかけていた。

砂埃を上げて走ってくる黒いぬいぐるみ達、種族名ジュペッタ達はまるでヤマブキマラソンの集団だ。ドドドドなどとそれらしい音を立てながら、ピジョン狂いの女の横を通り越し、鳥居を潜って外へ出て行く。最後尾の個体になんとか追いついた青年は一匹を捕まえたがぬいぐるみは身体を翻し、彼を殴った。

「ぐえっ!」
青年はシリーズ主人公にあるまじき情けない声をあげて、ジュペッタから手を離す。そして石畳に倒れこんだ。
「待って…待ってくれ…」
言葉虚しく鳥居を潜ったジュペッタは町へと散っていった。
「これだから手足のあるゴーストポケモンはダメなんだ!」
彼は悪態をついた。

「やはりジュペッタはダメだ。、自我が強すぎて制御が効かない…前もそうだった。ジュペッタは裏切る。これだからジュペッタは嫌いなんだ…カゲボウズでないとだめなんだ…」
青年はブツブツ呟いた。
「そこのイケメン!進化系について並々ならぬ拘りがあるようだね」
ピジョン狂の女が言った。

「誰ですかアナタ」
「これは失礼、申し遅れたが私は難波十七というものだ。カントー地方ピジョン牧場を経営している」
「単行本ごとにピジョンステマをやらかしてたのはあんたかー!」
青年はメタ発言をした。
「単行本ごとに誰か喰ってる君に言われたくないよ」
女も作者を代弁した。

難波の背後では細身の男がさめざめと泣いており、大柄の男がなだめていた。
「うわぁー!アイリスー!どうしてピジョットにぃぃ!」
アイリスと呼ばれたピジョットは困り顔だ。
「まあまあピジョットだってかわいいじゃない」
でかい男が慰めたが「殺すぞテメエ」と細身の男がドスのきいた声を出した。

「ちなみに後ろの二人はピジョン牧場のスタッフだ。細いほうがシステム担当のリ・スー。私に負けないピジョンキチガイだ。でかいほうはタカヒナ。雑用係でラプラスが好きだ。ラプラスの進化の可能性を求めてこの神社にやってきた」
と、難波は紹介した。
「とりあえず我々はこの悲劇的状況を打開せねば」

「待ってください」
「ん?なんだねタカヒナくん」
「僕のラプラス進化してないんですけどどういうことです」
「諦めろ」
「えっ」
「諦めろ。ちなみにカモネギも諦めろ」
「ひどい」
「とりあえずピジョットピジョンに戻さねば。原因はわかってる神様の暴走が原因だ。神事に失敗したんだ」

「まずは宮司に話を聞こう。イケメンも一緒に来たまえ。私たちは愛すべきピジョンの姿を取り戻したい。君もジュペッタカゲボウズに戻したい。目的は一致するはずだ。そこの幼女も来なさい。ゴローちゃんを元に戻そうね。大丈夫キモクナーイ」
こうして未進化を取り戻す戦いが始まったのだった。

彼らの姿は社務所にあった。進化は祝福なりと書かれた掛け軸を背に上座にイーブイを抱いた青い顔の宮司が座っている。その左右を埋めるように青年、幼女、ピジョン牧場一行が座布団に座る。宮司は震える手で出された茶を一杯飲むと、
「神様が御渡りになる儀式で手順が一個入れ替わって」
と、言った。

宮司が言うにはこの八又神社の進化の神というのはイーブイ依代にしている。依代であるイーブイがいずれかの進化系になると新たな依代たるイーブイをたてて、神様を渡らせる。だが神様がうまく渡れないと災いがある。
「神様は適切な器がなければ力を制御出来ません。結果、進化のバーゲンセールに」

「神様は今どこに」
「たぶん八つに飛散して適当な依代を得て、町内を駆け回っていのではないかと。過去の記録にもそう書かれています」
「つまり過去にも失敗しているんですね!?」
「うちの宮司、代々うっかりミスが多くて。そういう時の為に特別な神具が作られました」
宮司は木箱を取り出した。

ゴクリ。青年は唾を飲み込んだ。まさかの神具の登場に民俗学者のタマゴの血が疼いたのである。宮司が紐を解き、木箱の蓋を開けた。そこには、
銀色の巨大なハリセンが入っていた。
「なんですかこれ」
「進化キャンセルハリセンです」
「進化キャンセルハリセン」
「これで叩くと進化解除します」

「荒ぶる神様を調伏する道具でもあります。町内で暴れる神様をとっ捕まえて頭を叩けば強制的に依代であるこの○代目依代のブイちゃんに御渡りします。とりあえずみなさんのポケモンは叩いて元に戻しましょう」
すると社務所に抗議の声が上がった。
「ふざけるな!愛するピジョンを叩けだと!」

「アイリスを叩くとか信じらんないよ!」
「私のリリィちゃんをそのハリセンで!なんて残酷なことを言うんだ!ポケモン愛護協会に訴えてやる!」
ポケモンバトルはするのに!?」
「神聖なバトルとハリセンを一緒にするな!」
ピジョン狂は変なところにこだわるからこそピジョン狂なのだ。

「二人とも落ち着いて!それなら町内にいる神様を依代に収めてください。そうすれば神様も力を制御できるようなって、元に戻してくれるでしょう」
「ようし、やるぞ!」
「おうとも!」
二人が盛り上がる。
「早く叩けばいいじゃないの」
タカヒナが言ったが、殺すぞと二名が言って彼は黙った。

「私もゴローちゃんを叩くのは嫌。キモいけど」
幼女もピジョン狂らに同調した。
「君は良い子だね。悪いけど僕は見つけ次第叩く。あのヤロー思いっきり人を殴りやがって、絶対許さん」
青年はハリセンを握りしめるとカゲボウズが寄ってきそうなセリフを吐く。隣のネイティオがトゥートゥーと鳴いた。

町は騒然としていた。当然だ。突如として三百匹もの呪いのぬいぐるみが鳥居の向こうから押し寄せてきたからだ。ぬいぐるみ達は欲望に忠実だった。和菓子屋のカウンターから饅頭や最中が消え去って、駄菓子屋は蹂躙された。ある一団は蕎麦屋を襲うと、店主にただで蕎麦を茹でさせ、蕎麦をすすり始めた。

「これだからジュペッタは!素直なカゲボウズにもどれ!」
鬼の形相の青年と無表情のネイティオ蕎麦屋に襲撃をかけると場は騒然となった。ハリセンの音が鳴り響き、ネイティオの鋼の翼が宙を舞ってジュペッタの頭部にめり込む。なぜかそれでもカゲボウズに戻るのは念鳥の徳の高さに違いない。

やがて蕎麦屋からはぬいぐるみの影が消え、客席には頭に凹みをつくった哀れなカゲボウズが横たわった。青年はそれを乱暴に掴むと足元へ投げつける。青年の影にカゲボウズが吸収されていった。
「すいません!請求は八又神社にしてください!」
目を白黒させる店主をよそに青年と念鳥は走り去った。

「おうツッキー、成果は上々?」
神社に戻ると宮司らと作戦会議をしていた難波が聞いてきた。
「何匹かがガラス割って逃げましたが、初回としては…ってなんですかツッキーって!」
「ツキミヤだからツッキー。かわいいでしょ」
古文書や古い日誌を広げながら、難波が言った。
「まあ座りなさいな」

宮司さんの話や日誌を総合すると、代々の宮司はまぁ一回はやらかして進化暴発騒動になっている」
「学びがない!」
「その度にハリセン持ち出して調伏していたわけだが、散り散りになった神様ってのは何かを依代にしてイーブイの進化系の形で現れるそうだ。明日からは過去の出現場所を中心に探す」

「君は引き続き町でジュペッタを叩く。過剰進化で困ってる人がいたらそのポケモンも叩く。我々は手分けしてイーブイ進化系を探す。ピジョン牧場限定のBluetoothを支給するので携帯につけるように。見つけ次第連絡が行くからハリセン持って駆けつけて。すぐに行けるよう町内の地図を頭に入れるんだ」

ネタメモ:帰ってきたみのむし家の一族

ツッキー「さっそくですがお話を聞かせてください!こちらの家ではフォレトス氏神様としているそうですね。どんなご利益があるんでしょう?」(期待の眼差し
少年「特にないです」
ツッキー「特にない?」
少年「ないです」

古文書を解読したツッキー「先祖の強い意向により氏神様となる。これは現代の同人文化における推しの概念に非常に近く…なに書いてるんだろうぼくは」
もう寝ようと押入れの戸を開ける。なぜか押入れに侵入しているフォレトスと目が合う。
そっと押入れを閉じる。

ねえねえおじいちゃん
なんだい孫よ
最近さ、クヌギダマの下にさ、カゲボウズが2、3匹ぶら下がってるのを見かけるんだけどなんでだろうね。
そうだな、なんでだろうな

ツッキー(ぼくは見てない…何も見ていない…)

後日、オリベ研究室
ユウイチロウ、奴の息子から何か届いたよ』
「なになに、なんだこれ。フォレトスのまきびしを溶かして鋳造した愛らしいミニフォレトス。鍋にいれて料理すると鉄分が染み出し、現代人に不足しがちな鉄分を補うことが出来ます。フォレトスの一部を身体に取り入れ…なんだこれ」

とあるぬいぐるみ店の話

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 私の地元、ホウエンのとある町のアーケードには地下街がある。学校帰りに時々寄っているのだが、最近そこに気になるお店が出来た。ぬいぐるみの店である。

 ガラス越しに中を覗くとたくさんのジュペッタが並んでいる。大小様々で汚しの具合はも色々。ツギハギがあったりボタンがついてるようなのもいた。
 もちろん本物ではない、ぬいぐるみである。
 ……にしてもリアルである。
 ふと、お店の奥の女主人と目が合った。オカルトマニアがそのまま歳を取ったような彼女はにこりと笑うと手招きをした。

「いつも見ているのね。気に入った子がいたら持って帰ってもいいのよ」

と、彼女は言った。
彼女が云うにはここに並んでいるのは元本物らしい。

「大丈夫よ。中身はもう成仏してるし、クリーニングして綺麗にしてるから。襲ってきやしないわよ」

 女主人は私を店の端のテーブルに案内するとお茶を入れてくれた。そして自身の本業について語り始めた。
 なんでもこの女主人、夜は除霊師をしているというのだ。

「特にあそこのショーケースに飾っている大きいのは苦労したわね。呪いがとっても強くて見境がなくって。自分を棄てた女の子に似てる子を三人も殺ったのよ。ちなみにこの右の子はね……」

 彼女は次々とぬいぐるみごとの武勇伝を語って聞かせた。なんでも呪いが強いジュペッタほどいいの感じの商品になるらしい。そんなこんなで幾体かのエピソードを語った後に「まあ、あなたにはこれくらいがいいかしらね」と、一体小さいのを押し付けられた。

「はい、これ説明書。いつか手放す日まで可愛がってあげてね」

 家に帰って説明書を読んだところによれば、しかるべき処置をしてあるので、処分する際は普通に捨ててもいいらしい。が、出来れば神社に供養に出してからお焚き上げにするようにとのことだった。
 とりあえず今は窓際に飾ってある。母は最初不気味がったものの、二、三日すると愛着がわいたらしく、時々埃を払っては愚痴を聞いてもらったりしているらしい。

 ある日、店は唐突に移転していた。
 移転先はわからない。
 新たな引き取り手を求めて、次の街に行ったのだと思う。

 

祖父の友人の話

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  これは僕の祖父が話してくれた事だ。

 昔この島には学校に行ってない子がいた。彼とは船着場や海岸で会った。親はおらず、シャワーズの乳で育ち、魚をとって、時にブースターに焼いて貰って命を繋いでいた。空が赤くなりだすとその姿が変容していき、日が落ちると完全にシャワーズになったという。

 いわゆる「あいのこ」というやつだ。何かの間違いで島の男がシャワーズと契り、そしてシャワーズが産み落としたんだろう、という話だった。人とポケモンの「あいのこ」はまったく人間の見た目であることもあれば、ポケモン的な形質を有している場合もある。彼の場合は時間帯で違ったらしい。人間の姿でいるのはおおよそ正午から日没くらいだったそうだ。

 彼は「あいのこ」だけあって人間の姿でも泳ぎがうまかった。よく祖父と遠泳にいった。泳ぐ速度は島の誰より早く、一度も勝った事はなかった。よく隣の小さな島に渡ったという。島には物干しざおが一式あって、彼の衣服はそこに干されていた。その多くは祖父が譲ったお古だった。

 彼は異端だった。島の住人のほとんどは彼をいないものとして扱っていた。交流があったのは一部の漁師と若い日の祖父くらいだったようだ。壮麗な神輿が出て島を練り歩くハレの日も彼は海からさみしそうにその様子を眺めていたそうだ。

 たぶん祖父はその姿に自身を重ねたのだろう。考えてみれば学校が終わると彼と遊んでいた祖父自身も仲間外れにされた子供だったのだ。

 ただそれでも、祖父は島の人間であった。祖父には帰る家があり、人間の学校に通った。次第に相応な振る舞いが出来るようになったし、歳を重ねるごとに島の社会の理の中に溶け込んでいった。決められた年齢になれば祭りの準備も手伝った。

 ある年の祭りの日、祖父が出店の食べ物を持って行った。その時に祭りの灯りを見つめながら彼がたどたどしい言葉で、こんな半端な体はいやだからもうずっとシャワーズでいたい、というような事を話したのが忘れられないそうだ。

 そうしてある夏の日、巨大な台風が島を襲って家がたくさん浸水して、船もたくさん流された。台風が去った日を境に島で彼を見かけることはなくなった。海岸にはたくさんの青い石が打ち上げられていた。たぶん、彼は望みを叶えたんだ、と祖父は言った。

 けれど、人間だった彼をいなかった事にはしたくない、と時々人に語って聞かせるのだという。