017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

ウインディの民俗学

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 残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の大唐犬(おおからいぬ)が叢の中から躍り出た。大唐犬は、あわやエンサンに躍りかかるかと見えたが、忽たちまち身を飜ひるがえして、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟つぶやくのが聞えた。その声にエンサンは聞き憶おぼえがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟とっさに思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」
 叢の中からは、暫しばらく返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かすかな声が時々洩もれるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

 

これは最も有名なウインディ小説の一節である。が、子供達は旅立ってしまうので高校で読む人が減っているという。今日はそんなウインディについての民俗を紹介しよう。

 

 物語としてのウインディは前述した山月記のほかには以下が有名である。

 

 そう遠くない昔の事だ。とあるガーディが大学教授に大変可愛がって育てられた。教授が出かける時はガーディは駅まで送ったという。ところが教授が急死、その死を受け入れられないガーディは毎日駅で教授の帰りを待った。

 ある時どこかから炎の石を拾ってきたのか、はたまた誰かがやったのかウインディになった。ウインディになっても相変わらず駅に通い続け、新聞記事になって世間を騒がせたりもした。駅通いは彼が死ぬまで続いたという。

 現在はそこにウインディの等身大銅像が立ち、待ち合わせスポットになっている。大変大きいのでよく目立つ。

ウインディは後に剥製が作られている。国立タマムシ科学博物館にあるのがそれだ。

 ちなみにウインディの名前はハチと言う。「忠犬ハチ公」というタイトルで何度か映画化もされている。

 

  そしてウインディは呪術的側面からも重要な位置を占める。

 なにしろ進化前のガーディの雌雄一対の石像は神社の守護社の定番である。

 

 正月などに見られる獅子舞はウインディを模した獅子の頭を先端に布の中に二人が入って舞われるもので、正月などに披露される伝統芸能である。獅子に頭を噛まれると良いことかあるた云われる。噛み付くとは「神憑く」とも読むことができ、一種の神懸かりの儀式てあるとも考えられる。

 

 また一部地域の首領民俗には本物のウインディの骨を使い、我が子の頭を噛ませるという風習が残っている。これもウインディの強さを取り入れる、丈夫に育つなどの意味が込められており、「神憑く」の実践と言えるだろう。ウインディの霊を憑かせ、強い男にしようというわけだ。

 

 中国では魔除けのお札にウインディが描かれているという話はわが国にもよく知られており、時々学校やトレーナー間で流行る質の悪い噂や呪いから身を守るため、神社や雑貨屋でウインディの印刷されたグッズを買い求める若者は多い。最近は通信機器やそのカバーにステッカーを貼るのが流行りだ。

 

 ところで最近チルッターでウインディアイコンのアルファチルッタラーが炎上した案件があった。ウインディアイコンだけに炎上などと揶揄されたものだが、魔除け効果は発動しなかったのか。おそらく人の怒りや悪意やマウンティングしたい気持ちは「魔」なんかよりずっと強いから防げないのであろう。