017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

ゾロアークの民俗学

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 ゾロアークは歌舞伎に多大な影響を与えたポケモンである。初代團十郎は師匠を失った失意の中、ゾロアークの幻影舞台を見て奮起、その顔の模様を模し、隈取りをした初めての役者だったと云われる。そんなゾロアークは歌舞伎役者の間では神聖視され、悪狐のようだは褒め言葉だった。

 男が女を演じる女形はまさにゾロアークと言えるだろう。さる女形の役者は実際の顔を決して見させずに売り出した為、本当のゾロアークなのではないかと噂され、そんな悪狐役者を一目見てやろうと芝居小屋に大勢の人々が詰めかけた。ゾロアーク姿の浮世絵も多数刷られたという。

 悪狐の赤い隈取りを歌舞伎役者がメイクに取り入れたという話は有名だ。両者の関わりは深く、様々なエピソードがある。例えば襲名の祝いの品の中に悪狐からの届け物があるとその役者は江戸一番の千両役者になると云われる。悪狐からの贈り物は黒狐(ゾロア)が化けているため、尻尾が生えている、という。

 そのため、襲名の祝いの品には皆、黒い尻尾をつけて贈るようになった。襲名披露公演の折には、先っぽに赤い色のついた黒い尻尾を生やした品がいくつも並ぶという。

 さて、化けるといえばキュウコンなども得意とされるが、化ける事に関してはゾロアークのほうが格上だと言われている。

 それはなぜか? ゾロアークには尻尾がない為だ。
 「今まで隠していた実態が現れる」事をよく「尻尾を見せる」と表現するが、決して尻尾を見せないのがゾロアークなのである。

 昔、ゾロアークキュウコンが同じ人間に化けて化け比べを行ったが、互いに酒を飲んだ時に酔ったキュウコンは尻尾を出してしまい、ゾロアークが勝ったと云われている。故にまだ尻尾があるゾロアは半人前だと言えるのだ。