017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

ヤドンとヤドラン、シェルダーの民俗学

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 昔、ある海辺の国で不漁が続いた。漁民達は飢え、死を覚悟したその時、水平線の向こうから謎の一団が現れた。それはヤドンの群れだった。ヤドンたちは尻尾を差し出すと、漁民たちに切り取らせ分け与えたので彼らは飢えから救われた。そんなわけで今も厚く信仰されている。
 こんな話もある。ある地方では不漁で人々が困っていた時、海からホエルオーほどもあるヤドンがやってきて、海岸にどでかいしっぽを置いていった。ヤドンのしっぽをさばいてみると中から魚やら米俵やら小判が出てきた。
 浜辺でヤドンがいじめられているところを男が助けてやった話もある。そのヤドンが不漁の時にヤドランとなって現れた。ヤドランが尻尾からシェルダーを外すと中からぴかぴか光るきんのたまやでかいきんのたま、おおきなしんじゅが転がり出た。これを売って男の家は難を逃れたという。
 このような民話の他にも、しっぽがシェルダーに噛まれて進化する、という現象は人々に様々なインスピレーションをもたらした。その一つが下記の行事である。
 ウインディを模した獅子舞は全国各地に見られるが、その派生神事として神主さんがシェルダーの貝、あるいはそのレプリカで幼子の身体を挟み、噛ませる神事がある。赤ん坊なら早く立って歩くように、就学前なら頭がよくなるように、丈夫になるように願いを込めて、おしりを、頭をシェルダーの貝で挟むのだ。
 この神事はヤドンがヤドランやヤドキングになることにちなんでいるのはもちろん、パルシェンのように丈夫になれとか、チャンスを貝で挟み、逃がさないように、という意味合いも込められている。
 ウインディの頁でも触れたが、「かみつく」とは「神憑く」と書ける。シェルダーがしっぽに噛み付けばヤドンが立ち上がり、頭にかみつけばものすごいひらめきを持ったヤドキングになる。すなわちヤドランとヤドキングへの進化は神憑くの実践と言えるのだ。獅子舞の獅子に頭を噛んでもらうのは、むしろヤドキングに倣ったのだという主張も存在する。