エアームドの民俗学
戦国時代、合戦の後は死人の身ぐるみをはぐ絶好の稼ぎ場であったが「鬼が出る」と言って人々は戒めた。ある村の言い伝えによれば合戦後に身ぐるみをはぎにいった野盗が見たのはオニドリル達が自らの羽の一枚に加えるように刀を剥ぎ取る場面であった。
オニドリルは丹念に刀を集めては自身の翼の間に挟みこんだ。そして刀を集めるだけ集めて飛びだった時には、その姿はエアームドになっていたという。
刀には死者の怨念が宿っているから彼らに見つかると首をはねられると云われる。
こんな話もある。とある国で謀反の企てがあった。その企みをたまたま聞いていたオニドリルは城の武器庫に入ると、刀や槍の刃をすべて自らの翼に刺し、ごっそりと持ち出してしまった。オニドリルはエアームドとなってどこかへ飛び去り、結果謀反は失敗に終わったという。
また、暇な甲冑職人が戯れに金属を使ってオニドリルの自在置物で制作したものをゴーストが欲しがって、置物に取り憑いて飛び去ったからだとか、大名がオニドリルのために特製の甲冑を注文して着せたところ脱げなくなってしまってエアームドになったのだという話もある。
そして源義経がらみの伝説では、エアームドは武蔵坊弁慶の化身であるという。帯刀している者に勝負を挑んでは刀を集めていた弁慶はその死後にエアームドとなって飛び立ったというのだ。義経はエアームドに乗って海を越え、大陸に渡り、チンギスハーンとなって帝国を築いたともいう。