017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

ダークライの民俗学

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人やポケモンに悪夢を見せるというダークライにはこんな都市伝説がある。

生前ホラー漫画家だった男が事故死した。
即死だったのだろう、痛みがないのが幸いだったが、気がつくと黒い体になって悪夢を撒き散らすダークライになっていた。
そんな彼の頭上に誰かの声が響いた。

お前はホラー作家だったのだろう……
これからは人々を悪夢で怖がらせろ……

今や異形の形となった作家の中に、時間を遡るようにして、死後の記憶が流れ込んできた。
その光景は葬式を前にした親戚の集まりで。
男の遺体を納めた棺桶に向かって様々な言葉が投げつけられていた。
生前、彼の仕事が親族に理解されることはなかったから。

「まったく、陰気な子だったよ。ロクでもない漫画ばかり描いた」
「こんな残酷な絵を描いて何が面白いんだろう」
「一家の恥さらしだった」

そうか。ならばもっと見せてやる! と男は思った。
まだまだ描きたい話はたくさんあった。
描ききれないアイディアがたくさんあった。
まずは傲慢な一家が没落していく様をこれでもかというほど残酷に描き出してやろう。
そうして、彼らの家族は次々に精神を病んだ。
ある者は自殺し、ある者は入院し、家はみるみるうちに没落したという。


あるいは、ダークライは元々スリーパーであった、という話もある。
そのスリーパーは悪夢を食べるのが好きすぎて、悪夢を食べたいが為にポケモンや人を眠らせた。そして次第に悪夢を見せる能力をも獲得していったのだ。
ある時スリーパーは、悪い夢ばかり見させるからと捕らえられて、瓢箪に封じられた。
そうして永い時が経った。
その間、悪夢が食べたい、悪夢が食べたいとずっとスリーパーは思っていた。
瓢箪は神社の本殿の奥にしまわれて、何百年も経った。
いつしかその由緒が風化し忘れられて、ついに封印者の末裔が瓢箪の蓋を開けてしまった。
が、中から飛び出したのはスリーパーではなかった。
封印されたポケモンはすっかり姿が変わってしまい、ダークライになってしまっていたそうだ。