映画「名探偵ピカチュウ」ネタバレ感想と深読み
名探偵ピカチュウ見たよ。
初日から見てきちゃったよ!
まずはネタバレなし感想から。
・こじらせた大人の犯行
・我々のフォロワーもできる条件が整ったらやりかねない
・中二病のおすそ分け
・厨二系ポケモン二次創作のハリウッド映画化
・友達の感想
「自分の趣味を無理やり押し付けるのは大変迷惑だということがよくわかった。気をつけたい」
こじらせたポケモン二次創作小説書きの友人と話しているのですが、
「子供の頃の自分に見せたい。ただし、小学生じゃなくて中学生の頃の自分に見せたい」
「わかる」
で意見が一致しました。
まぁ作りに対して言いたいことは色々ある。ポケモンターゲット層的にそうはいかなかったんじゃないかと思うけど、対象年齢を大人に絞ってに時間かけてやって欲しかったという想いもある。そして無駄にスケールのでかいあのシーンはスタッフの意地でも入れるという鋼の意思を感じた。
粗はある、もっと!こう!!!っていうのもある。ただ、一つの到達点ではある事は間違いないし、今までの商業ポケモン作品にはなかった要素、欲望が出てくるので、見てくれ!!! 色んな感想が見たいぞよ!
-----ネタバレなし感想ここまで-----
-----ここからはネタバレしていきます-----
(05/05 興奮冷めやらず追いピカチュウをしてきたので追記もあります)
準備はいいか?
ではいきます!
まずはよかった点から。
壁画。
ぼんぐりを投げてる人の壁画とエジプトっぽい壁画があったんだけど、エジプト壁画の二次創作感がやばくて思わず微笑んでしまった。
しょっぱなのポケモンゲット(失敗)とあの世界の常識。
モンスターボールで捕獲失敗すると破裂して壊れちゃうんだね! 長年失敗ボールって拾えばよくない?とか思ってたんで謎が解けたぜ…。
それで捕獲に失敗した時、手ひどい反撃を受けるのがリアルで好き…これがポケモンを持たないで草むらにはいっちゃいけない理由…
そして、
「友人にポケモンを持ってない事を心配される」
という世界観よ…
友人にも心配されてるし、ライムシティ言ってからも「ポケモンいないの?」って二回も聞かれるんですよティム。恋人いないの? ご結婚はされてないんですか? ってノリで聞かれるんですよ…フォロワーが、ポケモンいないの?がハラスメントになる世界って言ってて、それですよ!と。
ポケモンいないの?って質問は残酷ではないかって、自分の二次創作小説でも描写したことがあるんですが、時代が我々においついた感があるよ…
ライムシティ。
無限に見てえ。
ちょーだい!そういうのもっとちょうだい!!!!
ポケモンをこじらせた者たちが夢見た世界かよ…
・町を歩くドードリオ
・ゼニガメ、ヒトカゲ、フシギダネ…
・ガーディ、ウインディ
・ヤンチャムとゴロンダ
・荷物を届けるウォーグル
・交通整理するカイリキー(寝てるカビゴン)
・(私は見つけられなかったが横歩きしてるキングラーいたらしい)
・立ってるだけで異様な存在感を放つゴルーグ
ああ、理想の世界なのに情報量が多すぎて、捌ききれないぞ…
・屋台でなんか焼いてるオクタン
・あっちこっちに寝てるケッキング…本当にあっちこっちで寝てるの…なんなの…
・カフェでパートナーとくつろぐガーディ
・アパートの管理室のガラスに張り付くキモリ
・サラリーマンらしき男の連れてるニューラ
・電線を伝うバチュル
・町の中にシルエットだけ溶け込んでいるヤミカラス
・違法バトルハウスですっごい神妙な顔でバトル見守るドードーとコラッタ
映像だけ何時間か見ていたいんですがだめですかね?
・ヨルノズクのカフェ看板
・きのみカフェ(なぜか日本語表記)
・エンブレムの中にあしらわれているポケモン(リザードンのように見えた)
もうわかってるとしか思えないよね。
とりあえず設定資料集出してください。
違法バトルハウスのおにーちゃんとリザードン。
違法バトルハウスでピカチュウとのリベンジマッチを熱望する男がいるじゃないですか。
あいつらすげー尊くない?
いまからその尊さを説明しますね。
技を出せず苦戦するピカチュウ、ピカチュウを助けるためにティムはバトル場に乱入してリザードンの尻尾を踏みつける…
そこにね「ベイビー!」って言って割り込んでくるんですよ! 彼は!
えっ? ベイビー??
ベイビーってお前…何、お前、リザードンのことベイビーって呼んでるの?
お前…ヒトカゲのころからそうやって…
お前…まああのリザードンの我に返った時の瞳のつぶらさじゃなあ…
無理もないよなぁ…
ところでベイビーってどういうシチュエーションで使うんだろう…?
ベイビー 意味 で検索…っと…
……
ベイビー
(1)「赤ちゃん」を意味する英語。 カタカナでは「ベビー」と表記する場合も多い。
(2)若い女性の恋人に対して呼びかける言い方。
おい、ちょっと待って…
もう尊さがマックス…
私は死んだ。
もうね、これはね、リベンジマッチを挑んだのもすべては愛するベイビーの名誉のためですよ、これはもちろん己がプライドもあるけれど…いや、そう、むしろこれはカップルの名誉のためですよ、あなた。
もうね、お前らに100億点だよ。
ベイビー(恋人)にガス吸わせちゃうそういうダメなところも含めてね、お前らに100億点。
私もね、最初のポケモンはヒトカゲだからね…
しかもあのコンビさ、エンディングにもちゃんと出番もあるんだぜ…あれはスタッフが好きなやつじゃん…愛されてるやつじゃん……
そういうやつの投影じゃん!
もうダメ……尊い……無理、無理…(机バンバン
そんなに簡単にコイキングが進化するかよ! って突っ込みはさておき、やりたかったんだよなぁ…わかる…わかるというギャラドス進化。もうこれはね、赤緑でプレイしてその大化けっぷりに感動したスタッフの犯行ですね……
そしてコダック。こっちはアニポケの影響ですね。ねんりきってゲーム上じゃ大して強くないんだけど、アニメのコダックのねんりきはめちゃくちゃ強いんですよね…ねんりきが発動すると基本負けなしだし。それがあそこまで強くなっちゃった…っていう。
とにかくこの二件はスタッフが何見て育ってきたかがめちゃくちゃわかりやすくてニヤニヤしちゃった。
こいつらが出てくるって事は何を狙ってるかわかってるよな? よーしじゃあついてこいよ! っていう観客への信頼感を感じる(笑)。
でけーってレベルじゃねーぞ!!!
なんでもでかくすればいいと思って…
いや!許す!いいぞもっとやれ!!!
ぶっちゃけストリー上は入れる必要あるのか?と思うシーンなのだが
スタッフの絶対入れる!!! という鋼の意思を感じた。
せっかく実写化するんだぞ!? 入れずに死ねるか!!!! みたいな。
なんかドダイトスがすごいらしいと聞いたタイムラインのドダイ教徒が、その日のうちに見に行く事を決めて実行し、「神話だ」「宗教映画作ってるんじゃないよ…」とか言い出しててすごくおもしろかった。
タイムラインの別のドダイトス最推しフォロワーが名探偵ピカチュウを見るか迷っていたので
「義務です。イスラム教徒のメッカ巡礼みたいなもの」
とエールを送っておいた。
ドダイ教徒の責務を果たして、無事に殉教してほしい。
おっレッドが捕獲できるかどうかが世界線の分かれ目か??? みたいな。
カントー地方って単語だけでなんかもうご褒美感。
そして我々の知ってるポケモン世界とこの世界はつながってるんだよってメッセージに思えて、なんかジーンときてしまった…
わかるか? わかるよな? わかってくれ……
ラスボスの目的。
俺は人間をやめるぞーッ!
ティムーッ!!!
すげえ!
ポケモンの商業映画でそれやっちゃうんだ!?
二次創作小説みたいなことやっちゃうんだ!?
時代は変わったなぁ。
なんとラスボスの目的、ポケモンになることだった。
で、どうせポケモンになるんならやっぱ最強のポケモンがいいよね! みたいな。
お前、小学生かよ!
子供のような純粋な心を持ったままきちゃった大人かよ!
(だが手段は択ばない)
精神がラスボスに乗っ取られた時のミュウツーの顔がな、ニヤリと笑った顔がな。ビル・ナイなんですよ。これがモーションキャプチャの力か! かがくのちからってすげー!!
あの慣れた身体の操りっぷり。
ミュウツーになりたすぎて相当イメージトレーニングを重ねたんだろう。
このね! ラスボスのね! 目的はね! 業はね! 明らかにね!
私たちの中に似たような業や欲望を抱えている人いますよね!?
これは性癖の発露だよね?
むしろ脚本書いた人やスタッフがこうなりたいんだよね???
わかるぜ…フフフッ、みたいのがね?
製作陣のポケモンになりてえ! こんな不完全な人間の身体なんか捨てて、ポケモンになりてぇよ!!! って性癖の爆発ですよ、これは。
これは、ポケモンオタクの願い(の一種)っすよ!!!!
しかも周りの人間までポケモンにしだした。まさに「中二病のおすそ分け」実践!
ポケヲタ友人に「自分の趣味を無理やり押し付けるのは大変迷惑だということがよくわかった」と言わせしめたラスボスですが、これ、仲間が欲しい…性癖を共有できる仲間が…みたいな思いだと考えるとすごい切なくなってくる…あれは私たちの仲間ですよ…タイムラインにいっぱいいる私たちの仲間ですよ…彼は。
金と権力を持つとロクな事しないタイプのオタクだー!
正直「我々のフォロワー(の一部)もできる条件が整ったらやりかねない」と私は思いましたw
へんしん後メタモンの目が点。
ここはすごく観客に受けてました。
これもともとはアニメのあるメタモンに限定した問題だったはずなんですが、いつのまにか公式設定になっちゃったんですよね…。遺伝子操作して人間にもなれてミュウツー捕獲ミッションまで遂行して、目の前にポケモンいなくても変幻自在だったのに、
ミュウツーをひっとらえて肉体まで乗っ取ったのに目が点は高度な科学技術をもっても直せなかったのかよ…(あるいは萌えポイントだったから残したのかな…
エンディング。
その音楽と絵は反則でしょ!?
これはあきらかに日本のみなさんへのファンサービス。ハロー我々は海の向こうのポケモンオタク! 同志達よ楽しんでくれたかい? また会おうゼ?
こうだともっとよかったなー!という点。
ピジョンだろそこは。
ミュウツー(の身体を乗っ取ったラスボス)のバトルの際にピカチュウが乗ってたピジョットなんだけどさ…ちょっと!!!
そこはピジョットじゃなくてピジョンでしょ!? サイズ比的に! ピカチュウが乗るのはピジョンって決まってるんでしょ!
陰謀よ! ピジョット派の陰謀よ!
何? マッハ2を出す必要がった?
うるせえ! ピジョン出しやがれ!
あとさ…冒頭にもになる点があったんだけど、見間違えかもしれないんだけど、冒頭に飛んでるピジョットさ…なんか尾羽がピジョンじゃなかった? ピジョットの冠羽の鳥ポケモンが、ピジョンの尾羽つけてるように見えたんだけど…動きが早すぎて同定できなかった…まさかハリウッドが誤植じゃないよね…?
とりあえずDVDで確認しよう…
見間違えだったらすまん。だがもしも誤植してたらサトシのピジョットと一緒に一生追求してやるからな。赤緑のころからのピジョン過激派はしつこいんだ!
尺が欲しかった。
ティム親子の件ももっと尺か欲しかったんだー!
あれ何が起きたか全然わかんないんだよお!
その、親子のアレコレストーリー的には絶対面白いところだからあ!
あー時間ーーーー!!!
なによりラスボスの目的を…! 情念を! 業を! 親子の確執を!
もっとこう! こう!!!!
市井のポケモンと一体化してしまった人々の戸惑いみたいなものをもっと描写してほしかったな。
私はさっき、ポケモンになりたいって欲望はあるよね!って言ったんだけど、実は私自身はなりたい願望はもってなくて、パートナーポケモンと無限にいちゃつきたい、とか無限にいちゃついてる様子をニヤニヤ眺めたい派だったりするんです。
だからお前らにも私の幸せを分けてやるー!ってガスまかれたら、ふざけんなテメー!パートナーとの生活を返せー!!!って言うと思う。そこを描写してほしかったんだが時間足りなかった…。
そういう欲望を抱くことはあり得るんだ、その気持ち自体は否定されるべきことじゃない、でも違うんだ。その方法は間違っている。その願望のためにポケモンを犠牲にしてはいけないんだってことをちゃんと言って欲しかった。
そう考えると、ピカチュウが最後、人間の身体に戻る、というのは物語上の必然なのかもしれませんね。我々は人間としてやっていかなくちゃいけない。時々は現実逃避していいけれど、人間としてやっていかなきゃいけないのです。
最後に深読み。
気になる最高カップルの安否。
ところで名探偵ピカチュウの尊さの極みカップルである違法バトル場にいちゃんとリザードンはガスと乗っ取られツー様大暴れの結果として一つになれたんでしょうかね…逮捕されて収監されてるっぽいけど。いずれにしろ、合体したにしろしなかったにしろ早く元の生活に戻ってほしいですね…ガスは吸わせちゃダメよ。
ラスボスの野望が達成されるとポケダンの世界になる?
15年来のポケモン友達(映画は風と一緒に行くタイプ)がいるんですけれど、彼は大変こじらせたオタクでして、3Dプリンタでポケモンのフィギュアは作っちゃうし、ポケモン不思議のダンジョンとか好き…。そんな彼曰く
「ミュウツー、最後に余計なことを」
あなたはまたそういうこと言うー!
にしても、もしもラスボスの野望が完遂された場合、どういう世界になる予定だったんでしょうか。やっぱそれはポケダンの世界なのでは? という気がしたんですよね。喋れるポケモン達が文明社会を築き、外では野生のポケモンが襲ってくる…みんなでポケモンになってドダイトスの上に住みたかったのかな?
もしかしてラスボス、こじらせたダンジョンファンなのでは…
親子関係の修復を買って出た(?)ツー様。
あのー二回目を見てて思ったんですけど、もしかしてお父ちゃん、捕まえたツー様に息子の事とか話してたクチっすかね??? でないとツー様から「息子を連れてこい」とか出てこないと思うんですよ。
ミュウツーがお父さんの魂をピカチュウに移したの、もちろん悪い奴らから守るためでもあるんだけど「記憶はなくすがお前のままだ」みたいにするのって、要するにお父さんの善性にほだされたミュウツーが、めんどくさい記憶はおいといてお前のいいところでぶつかれば息子と和解できるって踏んだわけでしょ。
ツー様、実はめっちゃいい人(ポケモン)なのでは…。
記憶はなくすが…って言ってたの、もしかしてあれわざとじゃねーの?
「普通じゃない」人達へのエールとしての名探偵ピカチュウ。
さて、最後はリアルの話だ。
だが実は日本に比べるとアメリカって、オタク(あるいは変わった性癖)に不寛容な国でもあったりする(おそらく州にもよるが)。
ちょっと前に教えてもらったんだけど、アメリカではケモナー(着ぐるみ勢らしい)がその性癖を暴きたてられてて、議員辞職に追い込まれている。
詳細:
こういう話を聞いてると日本って、変な趣味の人程度で済むし、寛容だなって思うよ。
そしてこの映画を作った人たちって、どっちかといえば辞職した議員側の人間たちだと思う。
そう考えるとこの映画は、ラスボスがポケモンになりたかった事やほかの生き生きとしたポケモンの描写を含めて、様々な性癖を悪いこととしてやっつけようとする世間への抵抗のように思えてしまった。
君は一人じゃないぞー! と言ってるように見えた。
考えすぎかな。
もちろん映画での黒幕のやりかたっていうのはポケモンの犠牲を伴うので、その行為は明らかに悪であって止めさせるべきであることは間違いない。
だけど、ポケモンになりたいと夢見たり、表現するのは間違いなのか? って言ったらそうじゃないだろう。
パレードのシーンを見てくださいよ。
ポケモンと歩いて、堂々と着ぐるみを着てそれが許される世界……。
日本ではどうかわからないけど、この映画に救われる人はきっといるんだと思う。
明らかにポケモン拗らせたコア層向けに作られてて尖ってた事を見ても、これからの商業展開の表現の自由度を押し広げた作品だったと思う。
これをきっかけにしてどんどん挑戦的なポケモン作品が出てくるといいなって思っている。
日米ともにいろんな作品を送り出してほしい。それはきっと誰かを救うってことでもあると思うのだ。