草ポケモンとクリスマス
「クリスマスの時期になると町の外れに住んでいるおじいさんがどこからかユキノオーを連れてきて、お腹や背中に赤や金の飾りをつけ、街を散歩させていたものです。故郷を離れて十数年が経ちますが、その光景が今でも目に焼き付いているのです」
そう話してくれたのは海沿いにある教会の神父さんだった。クリスマスの礼拝も終わった25日の夜、縁あってディナーを御馳走になったのである。彼はシンオウの出身であり、近くの山にはユキカブリやユキノオーが生息していたらしい。
ところで、近ごろSNSでは似たような流行があるようだ。それは草ポケモンにクリスマスの飾りをつけ、写真をアップするというというもので、まさに例のクリスマスおじさんがたくさん現れてオンライン上に可視化された状態とも言えよう。
私が確認した限りでは、ナゾノクサ、ドダイトス、ナッシー、バオップ、モジャンボ等である。
ナゾノクサは葉っぱの生え際にワンポイントの飾りをつけてかわいいものだったが、ドダイトスは本格的な飾りと電飾をつけられてちょっと迷惑そうだったし、ナッシーはあきらかに季節感を損なっていた。そしてバオップはリーゼントが重そうだった。
一番かわいそうなのはモジャンボで電飾が幾重にも体中にまきつき、逆からみつく状態である上、電飾の光り方が主張が強すぎの感が否めなかった。
話に聞くには美しいが、やはりやりすぎはいただけないものである。
近年は近所の家のイルミネーションが眩しすぎて、家の人が気合いを入れすぎて、という話もしばしば聞くところであるが、草ポケモンに装飾にしてもポケモンが嫌がらない範囲で、わきまえて行いたいものであるし、承認欲求を満たしてもらった奉仕分のプレゼントはポケモンに対してもしっかりとしたいところである。