017のネタ帳

ポケモン二次創作ネタとか。

オーロットの民俗学

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「もりののろい」

オーロットは倒しても暫くして復活してくる。というのも魂がそこにはなく、森の奥にある大樹に魂移ししているからだ。その大樹を伐らない限り無限に沸いて出るのだ。
ある少年はオーロットと旅をしていたがある日オーロットが言う。
「ぼっちゃん、残念ですが今日でお別れでございます」
そう言ってオーロットは枯れて消えてしまう。
しばらくして里帰りした少年は故郷の森が伐採されたと知るのだった。
少年は嘆き悲しんだ。
幼い頃に遊んだ森を返してください。もう一度友達に会わせてください。すると祈願百日目の満月の夜に夢に青い色の大きなメブキジカのようなポケモンが現れ言ったのだった。
「少年よ。あなたが森の一部になるというなら、その願いを叶えてあげましょう」
伐採された森は牧場になっていた。モーモーミルクや肉をとる為にミルタンクケンタロスがたくさん連れてこられた。ところが連れてこられたポケモン達に次々異常が起こった。体表に苔のようなものが生える。植物の芽が噴き出る。同じ事は人にも起こった。
ポケモン達と人々はばたばた倒れていった。その亡骸を養分に急速に樹が育った。今ではそこは迷いの森と言われているそうだ。
オーロットが「もりののろい」という技を使い始めたのはこの時からだという。


「迷いの森のウソッキーの話」

迷いの森では、オーロットの群れに遭遇しえらい目にあったという話がしばしば聞かれるが、その群れに混じってウソッキーを見かけた、という話は微笑ましい話として、また生物の生存戦略的にも違うタイプを群れに抱えるのはメリットがあるなどの生物学的な話としても語られる。
またホラー面の語りとしては、あれはオーロットの呪いで森から出られなくなった人間の成れの果てであるというものもある。
迷いの森で悪さをした人間はオーロットの「もりののろい」で木にされてしまう。けれど、たまに効きの悪い人間がいて、そういう木にすらなれない半端者は木のまがいものになる運命という事らしい。
コミカルな語り口のマンガでは以下のような描写がある。

ウソッキー「おばけだぞ~」
オーロット1「お前、おばけチガウ」
オーロット2「こいつ自分の事オーロットだと思ってるんだよ……」

……人間社会への未練を捨て去る事さえできれば、結構楽しそうではある。


「御神木の話」

近所の神社の御神木に雷が落ちた。町の自慢だった御神木が燃えてしまって皆残念がったけど、僕は知っている。御神木はオーロットになって昼間は裏の鎮守の森でウロウロしてるし、夜は町を散歩したりしている。今の姿になって歩けるようになった御神木は少し嬉しそうですらあるのだった。


「桜守の話」

田舎の山奥の話。
今はもう使われていない廃線のトンネルの向こうに様々な桜が植えてある試験場があった。持ち主は今はもう亡き人で、いつの間にか住み着いたオーロットチェリムが桜の世話していた。その場所はどこかの樹に必ず花が咲いており、一年中花を見る事が出来るという。
そこにある日、少年が迷い込んだ。彼は花を楽しみ、ポケモン達としばし憩いの時間を過ごしたのだが、彼らとの約束でその場所は秘密にしていた。しかし、何らかの手違いでその存在が大人たちにばれてしまう。だが、大人たちが行く頃には大量の土砂でトンネルは塞がれてしまっていて、行く事はできなかったそうだ。
後に大人になった少年は急斜面の山を登り、トンネルとは別ルートから試験場を目指すが、とうとうその場所にたどり着く事は出来なかった。きっとトンネルを通らないとたどり着けない、そういう場所だったのだろう、年老いた少年は孫に語った。